出版企画

2024.05.01

はじめに

あなたは体の不調を訴える人に対してどのような施術を施していますか?満足を得ていただける結果に結びついていますか?治療院の経営は順調ですか?

 私は幼少期、風邪の治療のために打った筋肉注射の副作用で大腿四頭筋短縮症を発症し、50年近く経った今でもその不調が根治していません。小さな頃からさまざまな治療法を経験し、整形外科、接骨院、マッサージ、鍼灸治療などの業界を見て来ました。

 大学進学を目指し二浪した後、その当時治療に通っていた接骨院に就職し、治療家の業界に足を踏み入れました。今に至るまで一度は治療家の道を離れ、さまざまな仕事を経験した過去があります。2011年に名古屋市中区栄で「からだ工房本館」をオープンしてからも大きな危機が2回ありました。詳しい話は後ほどご紹介しますが、私の治療家としての人生は、決して順風満帆ではなかったのです。それでも今は、こうしてみなさんに私の培ってきた経験と技術を広めようとしています。

 それはいったいなぜなのか。

 一つ目は、時代の流れとともに体の不調を訴える人が増えて来たこと。一昔前には「ストレートネック」という言葉はありませんでした。「ストレートネック」とは、頚椎のアーチが無くなり頭部への負荷がかかり易くなってしまう状態のことです。
人の頭の重さは、成人であれば体重の約10%の重さと言われています。
この頭部の重さを支えている首は、頚椎の前彎(前側のカーブ)がクッションの役目をしており、頭部からの衝撃等を吸収する役割を果たしています。スマホ操作などで下向きの姿勢が長く続くと「ストレートネック」になります。心当たりがある方が多いのではないでしょうか。

二つ目に、ひと昔前の治療法ではかえってお客さまの体を痛めてしまう可能性が高くなったということ。私がこの業界に入った当時に行われていた「ボキボキッ」と骨を鳴らす荒っぽい整体を今の人たちにそのまますると、高い割合で体を壊してしまうでしょう。それは、体を使うより脳や目を使って仕事をするようになった日本人の筋肉や骨格などが、以前より貧弱になっている点にあります。では、軽くさすってその場の痛みを取るだけで良いのか、と言えばもちろんそれだけでは体は良くなりません。現代人に合わせた治療法が求められているのです。

三つ目に、自分が培って来た技術は、人に教えられるものではないと思っていたことを一念発起して「技術を広めたい」という気持ちになったことにあります。本書は、私のノウハウをメソッド化した手法についてご紹介します。それを参考にぜひ実践していただきたいと思っています。

 

 私の施術は、足ツボから始まり、時間をかけて体全体をほぐし、最後に整体をするスタイルです。1回の施術は最低でも80分の時間をかけて行います。このスタイルにしてから10年。多くの方の体と心の声を聞いて来ました。

 現在の日本人の体にあった私の手技を誰にでもできるものにしたい、後世に伝えたいという思いがあります。今、行っているご自身の施術のベースにプラスすることであなたにも絶対的な効果を出す整体師になってほしいと考えています。

また、整体院の経営の要でもある集客方法についても惜しみなくお伝えをしていきます。毎日忙しく責任感を持って頑張っている現場の整体師の方を見るにつけ、なんとかその努力が報われてほしいと思い、本書を執筆しました。本書がそんな整体師の方々の指南書としての役割を少しでも果たすことができたならば、これに勝る喜びはありません。

2022年4月

小山壮太